やまとの神さま
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第4回 2022年05月12日掲載
神武東遷由来、杉と城跡  桜実神社(宇陀市)


桜実神社の社殿と八ツ房スギ=宇陀市で

 桜実(さくらみ)神社は、宇陀市菟田野(うたの)佐倉にあり、社地と周辺は、神武東遷の「菟田(うだ)の高城(たかぎ)」の伝承地とされています。神社名の桜実は、地名の佐倉に通じるものでしょう。
 祭神は木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。1912(大正元)年、式内社に昇格しました。
 桜実神社に向かって左に八坂神社、右に十二社神社と弁天神社、さらに鍵形に前方に曲がって愛宕(あたご)神社と秋葉神社が鎮座します。これら五社は1910(明治43)年に合祀(ごうし)されたものです。
 本殿は、朱塗りの春日造です。10月の第3土曜日に催される例祭では、御供(ごく)まきが行われ、参拝者に振る舞われます。
 桜実神社の横にそびえる「八ツ房スギ」の巨木は、1932(昭和7)年に国の天然記念物に指定されました。最大樹高が14メートル、樹幹周囲が9メートルもあります。大小8本の幹が巨大な株状となり、互いに絡み合い、複雑な形になっています。樹皮は普通の杉と異なり、赤色をしています。
 この杉は神武天皇が大和平定の際、「菟田の高城」に陣を張った時に植えたものと伝わります。
 菟田の高城の山上には「神武天皇御東征菟田高城」の石碑があり、八咫烏(やたがらす)に導かれて進軍してきた神武軍が休息した地と伝わり、日本最古の城跡とされています。

(奈良まほろばソムリエの会理事 松浦文子)


(住所)宇陀市菟田野佐倉764
(祭神)木花咲耶姫命
(交通)近鉄榛原(はいばら)駅から奈良交通バス「桜実神社前」下車(平日のみ運行)。西へ徒歩約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)無料。約20台

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