やまとの神さま
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第49回 2023年06月22日掲載
ダム湖見下ろす龍神の社  丹生川上神社 上社(川上村)


大滝ダム建設に伴って現在地に遷座した丹生川上神社上社の拝殿=川上村迫で

 丹生(にう)川上神社は、675(天武天皇4)年の創建とされ、古来より祈雨(きう)、止雨(しう)の社(やしろ)として朝廷から重んじられました。平安時代の「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」に記されましたが、室町時代後期には所在不明に。しかし、明治〜大正時代に現在の上社(かみしゃ)(川上村)、中社(なかしゃ)(東吉野村)、下社(しもしゃ)(下市町)が同神社と由緒があることが順次確認され、1952(昭和27)年に別々の宗教法人として独立しました。
 上社は、水を掌握する龍神である高龗大神(たかおかみのおおかみ)がご祭神です。大滝ダム建設に伴い、1998年に高台に遷座しました。その際、旧社地で宮の平遺跡(縄文時代)が発掘され、細長い石棒(長さ30センチ前後)が10本以上見つかり、縄文時代中期末〜後期初め(約4000年前)の祭祀(さいし)跡とみられています。
 現在の拝殿、本殿がある境内には、遷座前の旧社地を遠くから拝む「元宮遙拝所(もとみやようはいしょ)」が設けられ、平安時代の敷石遺構が旧社地から移転・復元されています。
 年間神事は、古くからの10月の例大祭に加えて、98年の遷座を祝う春季大祭も3月に催されます。ダム湖「おおたき龍神湖」を見下ろす場所にあるため「天空の社」と呼ばれており、龍神総本宮として新たな伝統を築いています。

(奈良まほろばソムリエの会会員 柳原恵子)


(住所)川上村迫869の1
(祭神)高龗大神
(交通)近鉄大和上市駅からバスで「ホテル杉の湯」停留所まで約30分。徒歩約10分
(拝観)自由
(駐車場)有り
(電話)0746・52・0733

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