やまとの神さま
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第71回 2024年01月25日掲載
役行者ゆかり 池がご神体  池神社(下北山村)


池神社の拝殿=下北山村で

 池神社は下北山村池峰にある明神池のほとりに鎮座します。この池は周囲が約1キロもある県内最大の天然池で、神社のご神体です。1300年ほど前に池の水面が荒れ狂ったとき、修験道の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)が三日三晩の祈願で水神の怒りを鎮め、水神を祭る社を建てるように命じて創建されたと伝わります。
 主祭神は、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)で、雨乞いのご利益で知られ、村内だけではなく、広く南紀熊野地方でも信仰を集めています。
 同村によると、神秘的な雰囲気に包まれた明神池には「七不思議」があるとされます。その一つが「入る谷無し 出る川無しなのに、決して枯れず、水位がひとりでに上昇する」ことです。池は標高370メートルほどの峰の上にあり、一周する遊歩道を歩いても、流れ出る川や注ぎ込む谷は、どこにもありません。それでも、いつも水をたたえています。
 神社を訪れるほとんどの人が、拝殿でお参りする前に、池の社の箱の中から餌を買い、コイに与えます。コイや亀が参詣者に癒やしとパワーを与えてくれるようです。
 神社は7地区ごとにいる神事の主宰者「頭屋(とうや)」によって維持され、村民の心のよりどころであり、池や境内の木々とともに大切に守られています。

(奈良まほろばソムリエの会会員 奥田八尋)


(住所)下北山村池峰1
(祭神)市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、少那彦命(すくなびこなのみこと)
(交通)近鉄大和上市駅からR169ゆうゆうバス「池峯公園」下車(土砂崩れで運休中)
(拝観)境内自由
(電話)07468・5・2241

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