■2013年  
12月 瑜伽神社からの紅葉
飛鳥京の鎮守として祀っていた「社」を、平城遷都と共にここに遷したことから「平城(なら)の飛鳥山」ともいい、現在は、全域が歴史的風土特別保存地区に指定され、美しい景観を見せてくれます。
境内には、元興寺の里を眺めて、大伴坂上郎女が詠んだ平城(なら)の飛鳥の万葉歌碑があります。
11月 音羽山観音寺 お葉つき銀杏
ようこそ観音寺への看板を見ながらゆっくり急坂を登ってゆくも、しばらくすると息が切れてくる。
絵入りの看板に励まされながら、やっとたどりつき、最後の石段を上がると、本堂の階段で住職さんの人形が優しく迎えてくれます。
本堂の周りはイチョウの落ち葉の絨毯です。イチョウは、県指定の天然記念物「お葉つきイチョウ」。
運が良ければ、葉のうえに実を結んだお葉つきイチョウが見つかるかもしれません。
いつ訪れても、住職さんの笑顔の“おもてなし”に心温まるお寺です。
なお観音寺は11月24日(日)10時から「お葉つき銀杏まつり」を開かれます。
桜井から談山神社行きバス下居下車 約2キロ
(写真 豊田 敏雄)
10月 宇陀雲海
朝晩めっきり冷えるこの時期、宇陀では夜明け前、美しい雲海を堪能できる日があり ます。
谷の底からもくもくと霧が沸き起り、雲に乗っている孫悟空の気分。
差し込む朝陽は霧の色を次々と変化させ、自然の美しさに心をうたれます。
(写真 森本善彦)
9月 忍坂街道の棚田と彼岸花
神武天皇が宇陀から奈良盆地へ入ったときのルート、忍坂街道。
国道166号線沿いに忍阪区の棚田がうつくしい黄金色の実りの時を迎えています。
そしてそっと寄り添う彼岸花。田の畔に咲く彼岸花はその根に毒があるため、モグラ の害から稲を守る先人の知恵、今ではすっかり秋の稲田の風物詩ですね。
(写真:森本善彦)
8月 春日大社「中元万燈籠」
毎年、8月14・15日に執り行われる行事で、奈良夏の五大行事の一つ。
約3000基の燈籠に火が灯り、境内は幻想的な空間となります。
約3000基のうち、約2000基が石燈籠、約1000基が釣燈籠です。
燈籠の大部分は庶民からの寄進ですが、伊達氏や上杉氏など武将が奉納した燈籠もあるとか。
藤原忠通の寄進と伝わる柚木燈籠は石燈籠としては最古で、現在は宝物館に移されています。
(写真:矢野建彦)
7月 法華寺「蓮華会式」
7月17日 本尊の十一面観音に夏の疫病の厄除けを願い、茅の輪くぐりが行われます。
これは、光明皇后が「かや」を供えて疫病除けの祈願をしたことに由来するといわれている行事です。
夕刻から光月亭で茶粥のふるまいがあり、茶粥と梅干しをいただくと、体の中から清められたようで、 一時の安らぎを感じます。
6月 率川神社「三枝祭」
大神神社の境外摂社の率川(いさがわ)神社は奈良市内にあり、 また、父母にはさまれた子を祀る子安明神とも言われています。
毎年6月17日朝10時過ぎ、三枝祭(さいくさのまつり)、ゆりまつりが盛大にひらかれます。
神前に神饌や、酒樽に活けられたゆりの花が供えられ、四人の巫女による「うま酒みわの舞」が華麗に奉納されます。
酒とゆりの香りが漂う雅やかなお祭りです。
昼からは、七媛女(ななおとめ)を筆頭に、ゆり姫や稚児が奈良の中心市街地を巡幸します。
率川神社は、奈良市本子守町、やすらぎの道そばです。
5月 當麻寺の「ボタン」
この写真は當麻寺塔頭「西南院」のボタンです。
二上山の麓に位置する「當麻寺」ではこの時期、それぞれの塔頭が競うようにボタ ン・シャクナゲなどの花に包まれます。
普段は奈良市内などの寺院と比べ境内もどこかのんびりとした空気が漂う當麻寺です が、5月はこれらの花に加え、中将姫が極楽浄土へ来迎される様子を表す「練供養」もあ り、多くの参拝客で賑わいます。
また、現在奈良国立博物館では當麻曼荼羅完成1250年を記念して「特別展”當麻 寺”」も開催されています。
この機会に、ぜひ當麻寺の奥深さに触れられてはいかがでしょうか。
4月 佛隆寺の「千年桜」
室生寺の南大門と称される、宇陀の佛隆寺。
大和茶発祥の地とされ、空海が持ち帰ったとされる茶臼や、開祖堅恵が入定したとされる石室で知られます。
普段は訪れる人もまばらな山寺ですが、春と秋には大勢の人で賑わいます。
昨年は本欄で秋の彼岸花を取り上げましたが、春はこの「千年桜」の季節です。
大和三名段と言われる山門への197段の石段に覆いかぶさるように枝を拡げます。
高井のバス停から、山道を歩き、最後の急坂を登ったところで目に飛び込んでくる桜の大木は圧巻です。
3月 伝香寺の「散り椿」
これは伝香寺の「散り椿」。東大寺開山堂の「糊こぼし」、白毫寺の「五色椿」と並び奈良の「三名椿」に数えられます。
「散り椿」は「武士(もののふ)椿」ともいわれ、色まだ盛んな時、桜の花びらのごとく散ることから、若くして亡くなった筒井順慶の菩提を弔うため母・芳秀尼が伝香寺を発願した際に、筒井家より移したといわれています。
それでは、誰が「三名椿」を選んだのか。
伝香寺の栞の中で米川千秋氏は、”唐招提寺第七十五世長老で伝香寺住職を兼ね、初代散り椿が枯れたとき後継樹を植えた「宝静(ほうじょう)長老」ではないか”としています。
芳秀尼や宝静長老の思いがこもった椿が、今年も奈良の春を彩ります
2月 般若寺の「ロウバイ」
1月から2月にかけて黄色の小さな花を咲かせる「ロウバイ」、漢字では「蝋梅」中国が原産なので「唐梅」とも言いますが、梅の仲間ではなくロウバイ科ロウバイ属の落葉低木です。
この写真は、奈良坂・般若寺の「ロウバイ」。
秋のコスモスで有名な般若寺ですが、近年は今の季節の水仙にも多くの人が訪れます。
地表近く、石仏を取り囲む水仙から視線を上げると、本堂前に植えられたロウバイがアクセントを添えます。
「蝋梅を 無口の花と想いけり」 山田みづえ
1月 円照寺の万両
子供のころに、母から「万両は千両より重いから、葉の下に赤い実がつく」と教えられ、得意になって近所の垣根からのぞく赤い実を千両、万両と区別したものです。
切り花なら「千両」、鉢植えなら「万両」の違いはありますが、どちらも正月にふさわしく彩を添えてくれます。
華道山村御流は「花は野にあるが如く」と言われる素朴なお庭で薄氷の池を歩くような緊張感と忍辱の凛とした高貴さを飛石が漂わせています。
   「万両の ひそかに赤し尼の寺」小石秀子
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