やまと百寺めぐり
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第12回 2019年07月04日掲載
花の寺は聖徳太子創建  世尊寺(吉野郡大淀町)


世尊寺の境内にある松尾芭蕉の句碑=大淀町で

 江戸時代に再建された曹洞宗世尊寺(せそんじ)の創建は、飛鳥時代の比曽寺(ひそでら)にさかのぼります。古代には修験僧が、中世には清和天皇や藤原道長らが詣でた吉野巡礼のルートでした。戦乱の時代に寺名はその都度変わりますが、聖徳太子創建第7番霊場の法灯は守り続けられました。
 本尊の阿弥陀如来坐像は欽明14(553)年、十一面観音菩薩立像は推古3(595)年に大阪湾に漂着した香木から造られたと『日本書紀』は伝えています。
 来年は『日本書紀』編纂1300年。1月15日から始まる東京国立博物館の特別展「出雲と大和」に十一面観音さまが出展されます。慈愛あふれるお姿を多くの人々に拝んでもらいたいものです。
 世尊寺は花の寺として女性に人気です。ハナノキ、サクラ、オオヤマレンゲ、サルスベリ、ヒガンバナなど四季折々の花が参拝者の心を和ませてくれます。聖徳太子お手植えと伝わる壇上桜は、150年前に台風で倒れましたが、根から幹や枝が蘇生・開花し、不老長寿の桜として祈りの対象になっています。芭蕉が貞享5年(1688)に参詣し、「世にさかる花にも念佛まうしけり」と詠んだ句碑もあります。

【奈良まほろばソムリエの会 田原敏明】



■宗派 曹洞宗
■住所 吉野郡大淀町比曽762
■電話 0746-32-5976
■交通 近鉄六田駅から徒歩約40分
■拝観 9〜17時、入山料100円、本堂拝観料300円
■駐車場 有(無料)



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