京都府木津川市にある岩船寺(がんせんじ)は、当尾(とうの)の里と言われる丘陵が続く山間にあります。奈良市からも近く、古くから南都文化圏の一部のようにとらえられてきました。境内はやや小高いところにあり、山門の前には修行僧が身を清めるために使った石風呂があります。 
 豊かな大自然の樹木につつまれた境内に入ると、正面に三重塔が迎えてくれます。境内を散策して本堂へ、ご本尊は阿弥陀(あみだ)如来坐像で平安時代の10世紀中期を代表する尊像です。脇には辰(たつ)・巳(み)年生まれの守り本尊である普賢菩薩騎象(ふげんぼさつきぞう)像が祀(まつ)られています。門前では地元農家産の野菜や餅などのおみやげも売っています。 
 岩船寺から浄瑠璃寺(木津川市)までの石仏の道はおすすめです。やや下りの楽な道になっていて、途中には不動明王や笑い仏などの石仏が昔からの静けさの中にたたずみ、親切な説明板もあります。小一時間のどかな道を歩くと、やがて浄瑠璃寺に着きます。岩船寺と合わせてお参りされると良いと思います。春秋のハイキングは特におすすめです。 
【奈良まほろばソムリエの会 理事 松森重博】 
 
 
 ■宗派 真言律宗
 ■住所 京都府木津川市加茂町岩船上ノ門43
 ■電話 0774・76・3390
 ■交通 JR加茂駅からバス「岩船寺」下車すぐ
 ■拝観 3~11月は8時半~17時、12~2月は9~16時、500円
 ■駐車場 民営有(有料)
  
  
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