ボストン美術館―日本美術の至宝展 を観ました

キャッチコピーは「まぼろしの国宝、ニッポンに帰る」
フェノロサや岡倉天心に始まるボストン美術館の日本美術収集は今や10万点を超え、海外にある日本美術コレクションとしては世界随一の規模と質の高さを誇ります。
本展はその中から厳選された約90点を展示します。

その見ごたえのある作品群の中から奈良につながりの深いものを2つご紹介します。

法華堂根本曼荼羅図

東大寺法華堂に伝わったとされる奈良時代の仏画。
昨年十月に法華堂の須弥壇解体修理に際して見つかった仏像8体分の台座跡から戒壇院の四天王像が当初は配置されていた可能性が高いと発表された。ただでさえ仏像密度の高い法華堂にこの曼荼羅図はどこに掛けられていたのだろう。
その本尊の顔立ちは丸く穏やかで、東大寺大仏の蓮弁毛彫り像とも似通った優しい表情です。両脇侍とともにお顔の線が補修されたかのようによく残っています。衣の赤も古代の澄んだ色と見えました。

弥勒菩薩立像

快慶作 鎌倉時代・文治5年(1189)
鎌倉時代を代表する仏師の一人快慶の作品中で、現存する最も若いときに造ったとされる像で興福寺に伝わったとされています。
繊細さ、優美さはその片鱗を表しているもののまだ快慶全盛の域までは達していないように思います。特に横から見ると棒立ちで動きが感じられません。
顔は運慶の円成寺・大日如来像のように頬に張りがあり少年のような若さが感じられるのは作者の年齢によるものでしょうか。
東京国立博物館での会期は6月10日(日)までです。
大阪市立美術館での巡回は2013年4月2日(火)~6月16日(日)の予定。
皆さんはボストン美術館の分館が名古屋市にあるのをご存知でしたか。
名古屋ボストン美術館での巡回は2012年6月23日(土)~9月17日(月・祝)・2012年9月29日(土)~12月9日(日)です。

by 佐吉多万比古