奈良を偲ぶよすが(2)-国史跡 武蔵府中熊野神社古墳

JR南武線西府駅から北へ徒歩約8分ところに熊野神社古墳はある。
熊野神社本殿の後ろ側に保存整備工事によって復元された築造時の姿を見せている。また南側には展示館および石室復元展示室が設置され、墳丘土層標本・調査時の写真・解説パネルなどが紹介されており、石室の大きさも体感できる。

全景(展示館・古墳・神社拝殿・鳥居)

 形式は上円下方墳で、築造年代は7世紀中頃とされる。墳丘は三段構造で、1段目は一辺32m、2段目は一辺23mの正方形、3段目は直径16m、高さ6mの大きさである。
全国で上円下方墳と確認されている古墳はこのほかには次の3基のみで、熊野神社古墳はその中で最大・最古と説明されている。
 ・石のカラト古墳(奈良県奈良市・京都府木津市)
 ・野地久保古墳(福島県白河市)
 ・清水柳北1号墳(静岡県沼津市)

南側(本殿、石室入口、説明板、石碑)
東北側からの墳丘全容

 横穴式石室は前室・後室・玄室の3室からなり、羨道を含めた奥行き8.7m、玄室の高さ3mである。
平成15年の調査時には石室の天井は崩落しており、復元石室では切石が積まれていた部分は黄土色に、推定復元した壁・天井部分は濃い灰色に着色されている。
玄室からは多数の釘、ガラス製の玉、七曜文鞘尻金具、環金具などが出土している。

石室復元展示室(玄室から入口方向)

by 佐吉多万比古