第3回「奈良の食」勉強会 実施報告

25年6月12日(水)、自主勉強会「奈良の食」勉強会の最終回となる、第3回目の勉強会を開催しました。(開催場所:南都銀行 西大寺銀行クラブ)
講師は前回に引続き、現在平群町在住の「食品開発コンサルタント」でNPO法人「奈良の食文化研究会」の会員の「山根清孝」さんです。

最終回の今回は「奈良のうまいものから見えてくる奈良のうまいもの」、「奈良のうまいものの方向転換」という「奈良のうまいもの」をめぐるお話と、「伝統野菜(大和真菜、結崎ねぶか、筒井レンコン、大和芋)」、「畜産品(大和肉鶏)」を中心とした説明があった。
<奈良のうまいものから見えてくる奈良のうまいもの>
奈良県では平城遷都1300年に向けて、奈良をアピールできる名物料理を創り、「奈良のうまいもの」のパンフレット等を作ったが、ヒット商品が出たか、名物ができたかとの検証をされた。
「創作料理7品」、「郷土料理16品」、「お弁当12品目」、「催事お菓子」、「旬菜菓子」、「郷土菓子」などお話があったが、比較的辛口のコメントであった。
<奈良のうまいものの方向転換>
新知事になり、料理単品ではなく、「奈良へ来てうまいものを食べよう!」ということで、そのロケーションをアピールするように、方向転換が行われた。
眺めのいい、ロケーションのいいレストランを県が認定することになった。
<大和真菜>
伝統野菜であるが「大和まな」、「大和マナ」、「大和真菜」という表示が混在し、現在は「大和まな」という表示が多いが、山根さんの意見としては「大和真菜」という漢字表記に統一するのが一番良いのではないかとの意見であった。
古くは「真菜」とはおかずの中のおかずの事をいい、当時は川魚(コイ)のことをさしていたと思われ、これを切りさばくときに使う板から「真菜板」と呼ばれるようになったといわれている。
<結崎ねぶか>
面塚にかかる伝承で有名な「結崎ねぶか」であるが、戦後は軟らかくてスーパー等では扱われなくなって、ほとんど作られなくなっていたが、平成15年に川西町の町おこしのため種を探し出して、復活させた。比較的値段は高いが、軟らかくておいしいので、料亭からの引き合いも多いようである。
<筒井レンコン>
郡山では溜池が非常に多いことから、レンコンが栽培されていた。
ハスの花を「蓮華」(れんげ)といい、地下茎は「蓮根」(れんこん)、蓮の実は中国では薬膳(薬膳スープ)として、よく食べられている。
<大和芋>
御所では「櫛羅芋」ともいい、葛城山頂にある葛城高原ロッジでは櫛羅芋を使用した「芋鍋」が提供されている。
関東では仏芋(イチョウ芋)のことを大和芋と呼んでいる。
<大和肉鶏>
第2次大戦が始まる前まで奈良県は、愛知県、徳島県と並んで日本の肉用鶏の3大産地の1つであった。その肉質が優れていたため、京都や大阪で「やまとかしわ」として名声を博していた。戦後はブロイラーの生産が急増したが、往時の「かしわ」の味を懐かしむ声も多く、奈良県では畜産試験場を中心に高品質地鶏の開発試験研究が始まり、昭和57年に「大和地鶏」の出荷が行われた。
「ニューハンプシャー」と「名古屋コーチン」を掛け合わせたメスに「シャモ」のオスを掛け合わせたものである。在来種由来の血液百分率が50%以上のものが、地鶏として認定されることとなっており、大和地鶏は血液百分率が75%である。
最後に全員にお土産として、山根さんが長年携わってこられたフリーズドライ食品の「たまごスープ」(日本ジフィー食品)をいただいて帰った。勉強会では、フリーズドライ食品の開発にかかる苦労話を聞いていたので、山根さんの苦労が詰まっているような気がしましたね。
勉強会は今回で終了となってしまったが、奈良の食についていろいろな側面から、盛りだくさんの話が聞けて本当に楽かったですね。
また、次回の「旬彩ひより」での、おいしい大和野菜を使った食事会は本当に楽しみです。

啓発グループ 大山 恵功 記