話題「キトラ古墳壁画」展

4月22日より、キトラ古墳壁画が東京国立博物館で展示されます。

先日のニュースで壁画が奈良から出発した旨の記事が出ていたので、ご存知の方も多いかと思います。
東京では四神のうち、玄武・朱雀・白虎と十二支のうち、子・丑が展示されます。
場所は本館正面の階段脇奥。どういうふうに見せてもらえるのか詳細はわかりませんが、そう広い展示室ではないので、かなりの混雑が予想されます。
私はキトラ古墳壁画に関する展示を2006年から毎年飛鳥資料館で見てきました。2010年の朱雀を含む四神公開のときは、何時間並んででも絶対見たい!という思いで見に行きました。見終わって「21世紀まで残っていてありがとう!」と素直にそう思いました。時を越えて感動させうるものは、本当にすばらしいものです。
奈良の方の中には、奈良県以外で(今回は東京ですが)奈良県の宝物を展示することに多かれ少なかれ抵抗のある方もいらっしゃるかと思います。
実際2010年の四神公開の時、こんなことがありました。長時間ずらっと並んでいるときのことです。「これも絶対東京に持って行ってしまうんやろ~」というような内容のことを誰ともなしに言っているおじさんがいました。たまたまその後ろに並んでいたのが、横浜から来た方で「そんなことはないですよ。奈良県のものですよ」的なことをおっしゃっていて、私はその横浜の方の後ろに並んでいて、私もこの壁画が東京に行って保存されてしまうことはないだろうと横浜の方に同感でした。ですがそのおじさんは頑なに不服そうでした。
奈良県のものは奈良県でのみ展示して欲しい(保存して欲しい)という強い思いでいる人もいるんだなぁと、その時思いました。
ただ私は、奈良県にこういうすごいものが残っているということを全国にアピールするには県外で展示をするのはいい機会だと思っています。今回はキトラ古墳壁画の展示ですが、古墳文化や古代史に興味を持ってもらえるきっかけになることもあるでしょう。また飛鳥だけでなく奈良県の知名度も上がり、行ってみようかという動機付けになるかもしれません。それにあくまでも個人的な勘ぐりなのですが、「キトラ古墳壁画展」は、世界遺産登録を目指す国家戦略的(!?)な意味合いもあるのかも?なんて、思ったりもしています。
今回は東京国立博物館で展示はしますが、これが最初で最後になるはずです。(例のおじさんはそれでも不服でぼやいているかもしれませんが…)
明日香村にキトラ古墳壁画を保存する施設を作っているようなので、今後そこで保存公開される予定です。
今回のこの特別展で、一人でも多くの人がキトラ古墳壁画に会いに来て、感動をお持ち帰りしてくれればいいなと思います。
ちなみに東京ではあちこちで宣伝ポスター見かけます。(一枚欲しい私です)

上の写真は新宿駅で撮ったものです。
東京国立博物館 特別展「キトラ古墳壁画展」 4月22日(火)~5月25日(日)

橋口 鈴子