2015年9月27日(日)「なら記紀・万葉を味わい楽しむシリーズ講演会」(感想)

第3回講演会が桜井市立図書館にて開催されました。
桜井駅から歩いて、近隣の等彌神社へ参拝し、会場へ。
鳥見山の西麓にある等彌神社は、神武天皇神話の伝承地です。
『日本書紀』に、金色の霊鵄が天皇の弓にとまり光り輝いたことで、長髄彦軍の戦意がおちて、天皇軍が勝利した場所とあります。
今年5月に伊勢神宮内宮の鳥居が譲渡され、一の鳥居として設置されていました。
境内には石燈籠が並び、紅葉の名所でもあるそうです。
桜井市立図書館の外観には、円筒埴輪を模したと思われる部分があり、
メスリ山古墳から出土した大型円筒埴輪かも?と調べてみましたが、詳細は不明です。
会場である研修室は円形の部屋でした。外観を見ていたので、円筒埴輪の中にいるような気分になりました…円筒埴輪に入ったことはありませんが。
桜井市の歴史を感じさせる素敵な図書館でした。
まずは、芝山真知子さんによる万葉ジャズライブ。
スクリーンに映し出されるならの風景と、素敵な歌声が響き、万葉の世界へ。
長屋王、志貴皇子、額田王、天武天皇、柿本人麻呂、作者不詳の歌の数々。
芝山さんは万葉集の歌に曲をつけて歌われる方で、奈良市内でもライブをされているそうです。

今回の講演は、奈良女子大学教授の奥村和美先生による「桜井の万葉歌碑」。
桜井市の万葉歌碑をとおして、短い言葉に込めた万葉人の心や書き下し文の違いをわかりやすく解説してくださいました。
歌のみでなく、どのような状況で詠まれたのか、前後の歌や題詞などを考慮してみると、歌に込めた心を感じやすくなるそうです。
万葉歌は漢字のみで書かれていたため、人や時代によって訓がいくつかあり、書き下し文が違うおもしろさも教えてくださいました。
万葉集の訳本が読めるのも、それぞれの時代の研究者のたゆまぬ努力と、今に受け継がれていることなのだと感じました。ありがたいことです。

この講演会は、記紀・万葉ゆかりの地で学ぶことができる楽しみがあります。
企画や準備をしてくださった方々、ありがとうございました。
次回は12月19日(土)、かしはら万葉ホールにて開催されるそうです。