奈良県内の伝統行事歳時記(川上村御朝拝式を見学して)

奈良県内の伝統行事である川上村御朝拝式は、559回を数え平成22年4月21日には川上村の『無形民俗無形文化財』に指定されている。この御朝拝式を見学する為、平成28年2月5日に保存継承グールプの仲間と共に川上村に出かけた。
式典の行われた場所は、金剛寺という吉野の山深い静かな所で、身も引き締まる聖域のような感覚を覚えた。この儀式は後南朝の悲話を560年経過した今まで、郷土の方々が昔を忍んで守り伝えておられる。行事は、古式ゆかしき作法通り行われ見学する者を魅了する。

儀式が行われる場所
儀式を前に筋目衆のお浄め
着用の紋付には菊の御紋が入っている
階段を上って儀式に向かう筋目衆
自天王を祀る自天神社前で整列
自天王を祀る自天神社へ献饌
御神宝に息がかからないように、榊の葉をくわえる
御陵参拝を終えて戻る筋目衆

この式典は、午前9時30分から行われ、午前11時30分には式典は終了する。
自天王の遺品である縹糸縅兜(はなだいとおどしすじかぶと)、御鎧両袖(おんよろいりょうそで)、鎧胴丸(よろいどうまる)、太刀、長刀は見学者も拝観することができる。中でも縹糸縅兜(はなだいとおどしすじかぶと)、御鎧両袖(おんよろいりょうそで)、鎧胴丸(よろいどうまる)の金具は国の重要文化財に指定されている
今回の見学を通じて、県内には数多くの伝統行事が守り伝えられており、実際にその場の空気を感じることで、儀式の重みや郷土の方々の営みを肌で知ることが出来た。

保存継承グループ 橋詰輝己