ぶらり早春の佐保路

3月21日、ソムリエンヌ「早春の佐保路」…のはずでした。
ところが、前日から大雨、強風が続き、真冬の寒さ。
雨天決行にしたことを悔やみつつ、大判の傘をしっかり握って、集合場所の転害門へ。
転害門観光案内所の開館前にもかかわらず、快く中に入れていただき、予定通り13人全員集合しました。

転害門(国宝)は切妻造、本瓦葺きの八脚門。平城京の東 京極大路に面し、南一条大路(佐保路)に向かって立っています。奈良時代の創建に始まり、幾度もの兵火をくぐり抜けて来た東大寺伽藍の往時を偲ばせる遺構のひとつです。また老朽化によって昭和35年の転害会を最後に引退した御鳳輦(ごほうれん)が58年ぶりに新調され、今年の転害会で御鳳輦渡御が復活するのだそうです。NPO法人なら・観光ボランティアガイドの会(朱雀)の方から興味深いお話を聞くことができました。

若草中学校出身のメンバーを先頭に、皆さん同窓生のように校内へ。
中学校のある丘陵は眉間寺山と呼ばれ、かつて多聞城が建っていたところです。1560年松永久秀が建てたもので、山城中心の中世の城に対して、近世の平城の先駆けとなりました。四階の櫓を備えた壮大なもので、近世城郭をかざる多聞櫓は、この城に始まるとされます。
強風のおかげで春霞も吹き飛び、松永弾正に成り代わって、天下無双の野望に燃えたのでした。

1日中雨の予報にも関わらず、多聞城跡に到着する頃には雨が上がり、なんと時おり晴れ間まで。女の執念恐るべし!?

佐保川の清流ならぬ濁流を眺め、多聞町の古民家ショップや河瀬家住宅などを覗き見しながら、聖武・光明皇后陵へ。終生、聖武天皇への愛を貫いた光明皇后の姿に、我が身を省みたのは私だけ?

ちてはこカフェの店主さんにも、ずいぶんお天気の心配をしていただきました。オープン時間を早めて11時から12時半まで貸切にしてくださり、店名どおりの、手と心のこもったランチとケーキを楽しみ、思い切りおしゃべりに花咲かせることができました。ありがとうございました。

興福院の小堀遠州作のお庭を一目見られないものかと骨折りしてみましたが、ちょうどお彼岸に重なり願い叶わず、門前からしっとりとした尼寺の雰囲気だけを感じさせていただきました。

歴史の道をたどり、吉村長慶さんの暖かみのある石造物群に思わず笑顔になり、狭岡神社へ。
メンバーの若い頃(数年前?)は荒れ果てていたそうですが、今はきれいに清掃され、ありがたいことに階段に手すりまで。佐保姫伝説にあやかり、恋愛成就を祈ったメンバーもいたとか?

レンギョウの咲き誇る不退寺では、かわいいお顔に容姿端麗な聖観音さまにしばしうっとり。

ウワナベ古墳、海龍王寺を横目に歩き、最後の目的地、法華寺に到着しました。こちらでも光明皇后写しの十一面観音を拝し、ソムリエンヌメンバーも美しさにますます磨きがかかったことと思います。

法華寺の枝垂桜が、見事「早春の佐保路」のフィナーレを飾ってくれました。
気象予報士さんを青ざめさせた晴れ女ソムリエンヌの皆様、お疲れさまでした。

女性グループ(ソムリエンヌ) 文 大谷巳弥子  写真 道崎美幸 大谷巳弥子