やまとの神さま
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第43回 2023年05月11日掲載
神武天皇の最初の妻祭る  嗛間神社(御所市)


嗛間神社の祠(ほこら)=御所市柏原で

 嗛間(ほほま)神社は御所市柏原(かしはら)にある神武天皇社の境外摂社で、神武天皇の最初の妻・吾平津媛命(あひらつひめのみこと)を祭ります。
 神武天皇が東征を果たした後、三輪の媛(ひめ)蹈鞴(たたら)五十鈴媛命(いすずひめのみこと)を正妃に迎えたため、吾平津媛命が微妙な立場になったことに配慮してか、当地では婚礼の際に神社の前に白い幕を張り、行列が神社の前を通るのを差し控える風習が、近年まで続いていたそうです。
 吾平津媛命は宮崎県日南市の吾平津神社でも祭られ、鹿児島県鹿屋市にも吾平の地名が残ります。大隅半島には柏原(かしわばる)の地名があり、神武東征の九州と大和の関連を想像すると、興味を覚えます。
 日本書紀には、神武天皇が当地の近くの丘から大和盆地を見下ろし、トンボ(古名は「あきつ」)が交尾して飛んでいる国だとたとえた故事から、日本国の別名を「秋津島」というようになった伝説が紹介されています。
 周辺には、石室が見学できる国史跡・宮山古墳(室大墓古墳)や、修験道の開祖・役行者の生誕地とされる吉祥草寺(きっしょうそうじ)などの史跡・寺社が点在しています。
 春の一日、古い歴史に彩られ、清酒やしょうゆ、豆腐などの特産品に恵まれた御所市を訪ねてみては、いかがでしょうか。

(奈良まほろばソムリエの会会員 福原康之)


(住所)御所市柏原325
(祭神)吾平津媛命
(交通)JR掖上駅から徒歩約10分
(拝観)日中開扉時は自由
(駐車場)無
(電話)0745・62・2141(同社総代・藤井謙昌(よしまさ)さん)

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