船山(ふなやま)神社は平群谷の東側に位置し、平群町三里(みさと)の旧安明寺村と旧中之宮村の氏神として祭られています。後方の矢田丘陵の八合目付近には丸木舟状の三つの巨石(長さ約6〜8メートル、幅約2メートル)があり、神が乗って天下ってきた「船石」として信仰されてきました。
由緒は明らかではありませんが、平安時代の「延喜(えんぎ)式」の神名(じんみょう)帳に記載のある古い神社です。船石付近に祭られていた「船上(ふなかみ)神社」を近世に山麓(さんろく)の船山神社に合祀(ごうし)したと伝えられています。
その船山神社も以前は南西約200メートルの旧中之宮村にありましたが、1915(大正4)年、旧安明寺村の春日神社の境内地に船山神社の名で遷座しました。こうした経緯で祭神は船山神(ふなやまのかみ)、春日神社の天児屋根命(あめのこやねのみこと)、住吉大明神です。本殿は小ぶりの春日造り風です。
平群谷で巨石を神の依代(よりしろ)とする磐座(いわくら)信仰の古社として「西の石床(いわとこ)神社(同町越木塚)、東の船山神社」と並び称され、共に豊穣(ほうじょう)を祈る対象として信仰されています。船山神社の旧社地の東側に船石に続く道があります。
現社地の拝殿前の石段の右側には、男性器を模した「陽石」があります。旧社地から移されたといい、大きくて、印象的です。
(奈良まほろばソムリエの会会員 喜多村英夫)
(住所)平群町三里475
(祭神)船山神、天児屋根命、住吉大明神
(交通)近鉄平群駅から東へ徒歩約20分
(拝観)境内自由
(駐車場)無し
(電話)無し
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