綱越(つなこし)神社は、親しみを込めて「おんぱらさん」と呼ばれます。「おんぱら」は「御祓(おはら)い」が変化したもので、拝殿には「おんぱら社」と書かれた額が掲げられています。
大神(おおみわ)神社の摂社で、平安時代の「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」に記載された古社です。御祭神は祓戸大神(はらえどのおおかみ)で、大鳥居の南の参道の入り口に鎮座します。江戸時代までは、大神祭の前日に神主らが初瀬川で禊(みそ)ぎをした後、綱越神社で祓(はらえ)の儀を受けてから大神祭に携わるという重要な役割を担いました。
国道169号から大神神社を訪れる参拝客の中には、一の鳥居をくぐる前に、まず綱越神社にお参りする人もいます。
7月30、31両日は「おんぱら祭」。この例祭は夏を無事に過ごすことを祈る「夏越(なごし)の祓(はらえ)」の祭典です。社名の「綱越」は「夏越」が転訛(てんか)したとされ、「夏越の社(やしろ)」とも言われます。おんぱら祭の2日間は綱越神社の鳥居に茅(ち)の輪が飾られ、参拝者は罪や穢(けが)れを人形(ひとがた)に託して祓い、無病息災を祈って茅の輪をくぐります。
本殿は、江戸時代後期の造営です。春日大社(奈良市)に代表される建築様式で、間口が一間(いっけん)(約1・8メートル)の「一間社春日造(しゃかすがづくり)」です。東の三輪山を向いており、祓戸大神が、大神神社の境内全体を静かに清めているのです。
(奈良まほろばソムリエの会会員 坂口隆信)
(住所)桜井市三輪大鳥居1168
(祭神)祓戸大神
(交通)JR三輪駅下車、西へ徒歩約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)有り(大神神社運営で、初詣時期以外は無料)
(電話)0744・42・6633
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