やまとの神さま
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第92回 2024年08月01日掲載
業平邸跡に建立と伝承  在原神社(天理市)


在原神社本殿=天理市櫟本町で

 在原(ありわら)神社は天理市北部の櫟本町に鎮座します。創建には諸説ありますが、880年5月28日に在原業平が病没したため、その邸を寺にして在原寺と号したと伝わります。後に神社も設けられ、江戸時代には、本堂、庫裏、楼門等があり、在原千軒と称せられるほどにぎわいましたが、明治元年の神仏分離令により在原神社のみとなりました。
 ご祭神は、在原業平とその父である阿保(あぼ)親王(第五十一代平城天皇の第一皇子)です。皇統が嵯峨天皇に移ったため業平は826年に兄の行平らと共に臣籍降下し、在原姓を名乗ります。
 その情熱的な作風の歌により「六歌仙」に名を連ね、時代を代表する歌の読み手となります。
 また業平は、日本最古の歌物語といわれた『伊勢物語』のモデルとも、作者であったとも伝わります。境内には、伊勢物語に登場する「筒井筒の井戸」や謡曲『焉(えん)』に歌われた「夫婦竹」なども見え、文学に長(た)けた業平を偲(しの)ぶことができます。
 毎年4月26日に例祭の「業平祭」が行われ、本殿前には祭神の阿保親王像と業平像が祭られ、美男の誉れ高い業平とのご対面がかないます。奇しくも来年2025年は、業平生誕1200年の特別な年を迎え「業平祭」もにぎわうことでしょう。
(奈良まほろばソムリエの会会員 西川年文)


(住所)天理市櫟本町市場垣内
(祭神)阿保親王、在原業平
(交通)JR櫟本駅から徒歩約10分
(例祭)4月26日「業平祭」
(拝観)自由
(駐車場)なし
(電話)なし


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