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第31回 2017年08月24日掲載
今に伝わる古代の景観 ―― 奈良市の平城宮松林苑


平城宮松林苑跡=奈良市で

 奈良時代、平城宮の北方には塀で囲まれた天皇の離宮である松林苑がありました。南北1キロ、東西1.8キロと推定され、範囲は平城宮全体よりも広大です。宮殿や楼閣が建ち並ぶ松林宮を中心に、多数の苑池(えんち)や農園が広がっていました。
 今の水上池、佐紀池、ハジカミ池など元は苑池で、佐紀盾列古墳群の周囲の堀も庭園に取り込まれていたようです。続日本紀にも、天皇が松林苑で群臣を集めて宴(うたげ)を催していた記述があります。
 現在、松林苑の西端と南端と思われる場所には、所々に土塁状の築地塀が見られ、1300年前の都の面影をしのぶことができます。
 辺り一帯は、風致地区や歴史的風土特別保存地区に指定され、景観が保護されてきました。その結果、緑豊かな素晴らしい自然が守られており、日本人の故郷とも言えるような風景に接することができます。

【奈良まほろばソムリエの会理事長 鈴木浩】



奈良市制作平城京条坊復元図/地図は新聞掲載のものとは異なります

■メモ■

メモ:近鉄京都線平城駅より徒歩で約10分。散策道が整備され、途中に成務天皇陵などもあり、自然を満喫できる、ウォーキングに最適なコースです。
 
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