やまとの神さま
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第125回 2025年06月19日掲載
能の源流とされる翁舞   奈良豆比古神社(奈良市)


翁舞=奈良市奈良阪町の奈良豆比古神社本殿で、写真は同神社提供


 奈良豆比古(ならづひこ)神社は、771(宝亀(ほうき)2)年創建で、志貴皇子(しきのみこ)の皇子であり春日王の弟にあたる白壁王(しらかべおう)が、光仁(こうにん)天皇として即位した翌年にあたります。
 祭神は、中央に産土(うぶすな)の神である平城津彦((ならづひこ)神(奈良豆比古神) 、右側に天智天皇の皇子である志貴皇子(田原天皇、春日宮天皇) 、左側に志貴皇子の皇子である春日王が祭られています。20年ごとの御造替(ごぞうたい)が欠かさず行われているので、建物も塗りもきれいです。
 本殿裏の境内地には、創建当時すでに大木であったと伝わり、根元幹回り約12・8メートル、樹高約30メートルにも達するクスの巨樹があり、県の天然記念物に指定されています。
 太い幹が空高く伸びる姿は迫力があり、階段などを使い、周辺を散策することもできます。
 毎年10月8日宵宮(よいみや)の午後8時から、翁舞(おきなまい)が奉納されます。
 浄人(きよひと)王と安貴(あき)王が舞を奉納し、父の春日王の病気平癒を祈願したことが、翁舞の始まりです。猿楽(能)の源流とされ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
 また同神社に伝わる20面の能狂言面は、いずれも室町時代のものとされ、中でもべシ見面(鬼神の面)は、国の重要文化財に指定され、能管(笛)などとともに奈良国立博物館に保管されています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 松田雅善)


(住所)奈良市奈良阪町2489
(祭神)平城津彦神、志貴皇子、春日王
(文化財)翁舞は国の重要無形民俗文化財、べシ見面は国重要文化財
(交通)奈良交通バス奈良阪下車徒歩約5分
(拝観)境内自由
(駐車場)無
(電話)0742(23)1025


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