談山神社の参道には、およそ100㍍を区切りに数多くの町石(ちょういし)が残されています。 
 神社から5㌔㍍ほど離れた一の鳥居の脇には「信心位(しんじんい)初町(しょちょう)」と刻まれた町石があり、神社の入り口の摩尼輪塔(まにりんとう)の脇には「第五二町 妙覚位(みょうかくい)」と刻まれた同型の町石が立てられています。 
 仏教では悟りに達するために52の段階の修行が必要とされており、それに対応する52基の町石が配置されています。町石をたどりながら参詣すれば、おのずから仏の境地に到達できるという道標(みちしるべ)でした。談山神社の前身は妙楽寺でしたが、その名残が今も残っているのです。 
 江戸時代に建てられた52基の町石は、今でも32基が残っています。水害で流された町石が建て直されたり、道路拡張で移動させられた町石の新しい場所が見つけられたりするなど、保存がすすめられています。 
 長い間、村人や参詣者を見守ってきた町石の姿に健気(けなげ)さを感じます。あわせて、この石塔を大切に守ってきた村人の思いに心が打たれます。談山神社に参拝された折には、沿道に立つ町石もぜひご覧ください。 
【奈良まほろばソムリエの会 副理事長 雑賀耕三郎】 
 
 
 ■住所 桜井市多武峰319
 ■電話 0744・49・0001
 ■交通 近鉄・JR桜井駅からバス「談山神社」下車、徒歩約5分
 ■拝観 8時30分~19時30分、600円
 ■駐車場 有(無料)
  
  
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