やまと百寺めぐり
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第64回 2020年08月06日掲載
個性あふれる仏ずらり  新薬師寺(奈良市)


新薬師寺の本尊、薬師如来坐像=同寺提供

 747(天平19)年、光明皇后が聖武天皇の病気平癒(へいゆ)を祈願して創建されました。当初の金堂は大風で倒壊し、現在の本堂は奈良時代には食堂(じきどう)だったといわれています。
 本尊の薬師如来坐像(ざぞう)(国宝)は、大きく見開いた眼と大波と小波を交互に表す翻波式衣文(ほんぱしきえもん)が特徴的です。普通、前腕や両脚部には横材を使用しますが、縦材を使い一木から彫られているかのように見せています。光背は二重円相光で、周りにシルクロード由来のアカンサスの葉の文様と6体の薬師仏を配し全体で七仏薬師を表しています。周りには岩淵寺(いわぶちでら)から移されたと伝わる十二神将立像(1体を除き国宝)が円陣に安置されています。「天平の塑像」として有名です。
 香薬師(こうやくし)堂には、平家の残党・平景清(たいらのかげきよ)の伝承にちなんだ、手に強弓(ごうきゅう)を持っている「景清地蔵」があります。1984(昭和59)年、東京芸術大学の修理中に、木の衣を脱がせたら同じ大きさの裸形像が現れました。「おたま地蔵」と命名されて2体がまつられています。事前に予約すれば香華(こうげ)料300円で拝観できます。
【奈良まほろばソムリエの会 会員 竹内和子】



■宗派 華厳宗
■住所 奈良市高畑町1352
■電話 0742・22・3736
■交通 JR・近鉄奈良駅からバス「破石町」下車、徒歩約10分
■拝観 9~17時、600円
■駐車場 有(無料)



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