やまと百寺めぐり
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第86回 2021年02月04日掲載
東大寺修二会発祥の寺  笠置寺(京都府笠置町)


(左から)金剛界石▽千手窟(ほこらの奥)▽胎蔵界石=京都府笠置町の笠置寺で

 3月1日から東大寺二月堂で修二会が始まります。この法会は752(天平勝宝4年)2月(旧暦)に実忠(じっちゅう)が始めてから欠かさず行われており、「不退の行法」とも言われています。
 実忠がこの行法を会得したのが笠置寺(かさぎでら)です。境内には胎蔵界石(たいぞうかいいし)と金剛界石の二つの大きな石が並び、その間に、千手窟(せんじゅくつ)があります。
 これは弥勒(みろく)の浄土につながる龍穴(りゅうけつ)とされる場所で、実忠はこの穴から兜率天(とそうてん)の内院に行き、十一面観音悔過(けか)が行われるのを見たとされます。
 伝承によると、実忠はこの行法を人間界でも行いたいと懇願しましたが、時間が足りないなどの理由で断られました。これに対して、走ってでも勤めるなどと粘り強く説得した結果、やっと認められたといいます。
 笠置寺の寺伝は、東大寺に先立つ752年1月に実忠が正月堂で初めて行法を行ったと伝えています。
 なお、大仏殿建立時、用材を木津川の流れを利用して運ぼうとした際にふもとの岩が障害になったが、実忠の師、良弁が千手窟で秘法を行ったところ、竜神が大雨を降らせ雷神が岩を砕いたとの言い伝えがあります。

【奈良まほろばソムリエの会 会員 池内力】



■宗派 真言宗智山派
■住所 京都府笠置町笠置笠置山29
■電話 0743・95・2848
■交通 JR笠置駅から徒歩約45分
■拝観 9~16時、300円
■駐車場 有(500円)



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