大安寺は、聖徳太子が創建した熊凝精舎(くまごりしょうじゃ)が始まりと伝えられ、舒明天皇がわが国初の官寺として百済大寺を建立、その後の移転・改名を経て、平城京遷都に伴い現在の地に建立されました。境内面積は15町(約25万平方㍍)と現在の約25倍もある壮大な大伽藍(がらん)でした。旧境内全体が国史跡に指定されています。 
 旧境内の北端にあるのが、杉山古墳です。寺から北へ徒歩約5分、毎週火・木・土・日曜日には無料開園されています。5世紀中ごろの前方後円墳で全長110㍍、もとは145㍍あったようです。墳丘に登れば四方に眺望が広がります。古墳内に6基あった瓦窯の1基が復元展示されています。 
 南端にあるのが、東西両塔跡です。寺から南へ徒歩約3分、東塔跡には、一辺21㍍の巨大な基壇が復元されています。西塔跡には、割ろうとした痕跡のある直径約2・6㍍の心礎(しんそ)(礎石)が残っています。ここに巨大な七重塔が並び立っていたと想像してみてください。 
 大安寺を訪れた際には、杉山古墳と東西両塔跡に足を延ばして、往年の大伽藍を実感してみてはいかがでしょうか。 
 
【奈良まほろばソムリエの会 会員 石田一雄】 
 
 
 ■宗派 高野山真言宗
 ■住所 奈良市大安寺2の18の1
 ■電話 0742・61・6312
 ■交通 JR・近鉄奈良駅からバス「大安寺」下車 徒歩約10分
 ■拝観 9~17時 400円(特別拝観期は500円)
 ■駐車場 有(無料))
  
  
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