天理市柳本町の専行院(せんぎょういん)には、柳本織田藩の歴代領主の墓碑と「修陵餘潤之碑」(しゅうりょうよじゅんのひ)という自然石の大きな碑が建てられています。
専行院の東方には崇神天皇陵があり、陵をめぐる巨大な周濠を見ることができます。もともとは小さかった周濠を巨大な池に作り替えたのは、幕末の織田藩の修陵工事でした。織田藩は工事と併せて周濠を拡大し、灌漑(かんがい)用水の拡充を図ったのです。
陵、周濠の改修により、多くの田に潤いの水が届けられることになりました。水の恩恵を受けた農民が時を経て、田植えを終えた時期に専行院に集まり、織田藩の領主の法要を始めました。法要は今も続いています。あわせて、修陵工事によって水の潤いを受けたと記した
「修陵餘潤之碑」を境内に建て、感謝と喜びの気持ちを表しました。
【奈良まほろばソムリエの会 副理事長 雑賀耕三郎】
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