石上(いそのかみ)神宮は第十代崇神(すじん)天皇の時代に創建された日本最古の神社の一つです。武門の棟梁(とうりょう)・物部氏の総氏神として健康長寿、病気平癒(へいゆ)、除災招福、百事成就の守護神として信仰されてきました。
大和王権が百済王から贈られたと伝わる七支刀(国宝)が描かれた、起死回生のお守りもよく知られています。
祭神は、神武天皇を助けたとされる霊剣・布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)に宿る布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)など。この霊剣の実在は長らく疑われていましたが、剣が埋まっているとの言い伝えのあった拝殿後方の禁足地を明治時代の大宮司・菅政友が発掘したところ、その実在が確認されました。
毎年6月30日には神剣渡御祭(しんけんとぎょさい)が行われます。布都御魂剣が見つかるまでは、代わりに神庫(ほくら)に伝わる七支刀を掲げて祭りが行われていました。
また、毎年10月15日には、平安時代後期の第七十二代白河天皇の奉納故事に始まる「ふるまつり」が行われます。拝殿(国宝)は、白河天皇が宮中の神嘉殿(しんかでん)を寄進したものと伝わります。
境内の静寂な森の中で、「石上布留(ふる)の神杉(かむすぎ)神(かむ)びにしわれやさらさら恋に逢(あ)ひにける」と、万葉集に詠まれた杉に思いをはせながら、境内を自由に走りまわる御神鶏を目にすると、心がなごみます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 谷政樹)
(住所)天理市布留町384
(祭神)布都御魂大神、布留御魂大神(ふるのみたまのおおかみ)、布都斯魂大神(ふつしみたまのおおかみ)
(交通)天理駅からタクシー約10分、または徒歩約30分
(拝観)境内自由
(駐車場)無料、約200台
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