龍田神社は奈良街道に沿って発達した龍田の町に鎮座します。一帯は閑静な佇(たたず)まいですが、かつては旅籠(はたご)や店舗が軒を連ねた宿場町として大いに賑(にぎ)わっていました。
創建は諸説ありますが、聖徳太子が法隆寺建立の地を龍田大明神の導きでこの斑鳩に定め、その鎮守社として、現在の三郷町の龍田大社から主祭神として風神の天御柱大神(あめのみはしらのおおかみ)と国御柱大神(くにのみはしらのおおかみ)を法隆寺の西方に位置する龍田の地に勧請したと伝わります。その縁で龍田大社の本宮に対して龍田神社は新宮と呼ばれてきました。
境内には拝殿右脇に樹齢850年を数える堂々としたクスの大樹がそびえます。県指定天然記念物の「ソテツの巨樹」の東株、西株とともに境内の厳かな雰囲気を引き締めています。
さらに境内には、「金剛流発祥の地」と書かれた石碑が目を引きます。金剛流は法隆寺に奉仕した大和猿楽(さるがく)四座の一つ、坂戸(さかと)座を源流とした能の流派です。演能は豪快な中にも華麗・優美さがあり「舞金剛」とも呼ばれています。
宗家は京都に移りましたが、龍田神社を校区に持つ町立斑鳩小学校には能クラブがあり、この地で育まれた伝統は、確かに次の世代に受け継がれています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 西川年文)
(住所)斑鳩町龍田1の5の3
(主祭神)天御柱大神、国御柱大神
(交通)JR・近鉄王寺駅から、または近鉄筒井駅から奈良交通バス「竜田神社」下車すぐ
(拝観)境内自由
(駐車場)有(20台)
(電話)0745・75・3163
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