狭井(さい)神社は本社の大神(おおみわ)神社の荒魂(あらみたま)を祭る神社で、病気平癒(へいゆ)・身体健康の神様として信仰を集めています。垂仁天皇の時代に創祀(そうし)されたと伝わり、平安時代の延喜式神名帳(じんみょうちょう)にも記載されている古社です。
社殿は檜皮(ひわだ)葺(ぶき)入母屋造(いりもやづく)りの拝殿とその奥に春日造りの本殿が西向きで鎮座しています。
大神神社拝殿からは、狭井神社へ通じる「久(く)すり道」という坂道を登っていきます。道の両脇には、薬業関係者奉納の薬木・薬草が植えられています。
4月18日に斎行(さいこう)される鎮花祭(はなしずめのまつり)(薬まつり)は、大宝律令(701年制定)に国家の祭祀(さいし)として大神神社と狭井神社で行うことが規定され、疫病除けの祭典として由緒があります。薬草の忍冬(すいかずら)と百合(ゆり)根が供えられ、疫病鎮圧が祈願されます。
ササユリの古名は「佐韋(さい)」と呼ばれ、近くを流れる狭井川は、川辺にササユリがたくさん自生していたことから名付けられました。また、狭井は神聖な井戸、泉も意味し、拝殿の奥手にある井戸から湧き出る御神水は「薬水」と呼ばれ、万病に効くと言われています。
薬井戸の近くには水琴窟(すいきんくつ)があり、竹筒に耳を当てると神秘的で清浄な音が響いてきます。
(奈良まほろばソムリエの会監事 島田清彦)
(住所)桜井市三輪1422(大神神社境内)
(主祭神)大神荒魂神
(交通)JR三輪駅から徒歩約15分
(拝観)境内自由
(駐車場)有(無料)
(電話)0744・42・6633(大神神社)
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