宗像(むなかた)神社は、天武天皇に仕えていた筑前の胸肩徳善(むなかたとくぜん)の娘、尼子娘(あまこのいらつめ)が天皇の妃(きさき)となり高市皇子(たけちのみこ)を生み、皇子が外戚の氏神として宗像三神をこの地に勧請(かんじょう)したのが始まりと伝わります。
祭祀(さいし)は、高市皇子の子孫の高階氏(たかしなうじ)が累代管理し、「日本三大実録」によりますと、880(元慶4)年、官社となり、次いで筑前宗像本社に準ずる大社となりました。神階は従一位で、74町の広大な田地を有していたと記されています。しかし、1341(興国2)年、兵火で焼失し、興福寺の配下となり、春日神社とその若宮社を祭祀するに至りました。
幕末の国学者、鈴木重胤(しげたね)は、宗像神社の衰退を嘆き再興に尽力、1859(安政6)年、改めて筑前宗像本社の神霊を迎え、翌年、社殿が完成しました。
その後、春日神社の社号を廃して宗像神社とし、1888(明治21)年、宗像の神は本殿中央に祭られました。2009(平成21)年、本殿は改築され装いを一新しています。
境内入口には「能楽宝生流発祥の地」の碑が建っています。2017(平成29)年には宝生流流派を挙げて、宗像神社本殿前で能が盛大に演じられました。
(奈良まほろばソムリエの会会員 東田好史)
(住所)桜井市外山(とび)818
(主祭神)宗像三神(多紀理毘売命(たきりびめのみこと)、市寸嶋比売命(いちきしまひめのみこと)、田寸津比売命(たぎつひめのみこと))
(交通)JR・近鉄桜井駅から徒歩約15分
(拝観)境内自由
(駐車場)有(約20台、無料)
(電話)0744・49・2221
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