やまとの神さま
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第19回 2022年09月22日掲載
ここに宮を…倭姫命の杖  御杖神社(御杖村)


御杖神社拝殿。両脇はご神木の上津江杉=御杖村神末で

 御杖村を横断する伊勢本街道から少し南に入った、神末(こうずえ)川西岸のこんもりとした森の中に、御杖神社は鎮まっています。
 社伝によると、三輪山麓(さんろく)に宮があったとされる第十一代垂仁天皇の皇女であった倭姫命(やまとひめのみこと)が、天皇の勅命により、天照(あまてらす)大神(おおみかみ)の御杖代(みつえしろ)となり、大神宮の候補地を求めて、大和国笠縫邑(かさぬいむら)から各地を巡幸したとされています。
 この地を訪れた倭姫命は、候補地の一つとしてしるすため、自分の「杖」を残しました。当社でこの杖を祭ることから、御杖村の村名が付けられました。
 御祭神は、行路の安全を守護する久那斗神(くなどのかみ)、悪や災いを塞ぎ守る八衢(やちまた)二神(八衢比古神(やちまたひこのかみ)と八衢比女神(やちまたひめのかみ))の3柱です。伊勢神宮と関係が深く、大和と伊勢の国境に位置することから、かつては悪霊を防ぐ道饗祭(みちあえのまつり)が行われていました。
 現在の本殿は神明造りで、入母屋造(いりもやづく)りの拝殿の両脇には、樹齢600年と伝わる、御神木の「上津江(かみつえ)杉」がそびえています。
 御杖神社が鎮座する、神末の地名も倭姫命の杖に由来しており、神末は、伊勢本街道における大和国の最後の宿場町でした。現在も往時がしのばれる、道標や常夜灯などの風景が残っています。

(奈良まほろばソムリエの会会員 坂口隆信)


(住所)御杖村神末1020
(祭神)久那斗神、八衢比古神、八衢比女神
(交通)近鉄榛原駅から曽爾村役場行きバス「掛西口」乗換え、御杖ふれあいバス「神末中村」下車、徒歩すぐ。駐車場有
(拝観)境内自由

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