大和三山の中で最も低いながらも、美しい円すい形の姿を見せてくれるのが耳成山。近鉄大阪線の電車内からも間近に眺められます。
この山の山頂近くに鎮座しているのが耳成山口神社です。
南麓(ろく)の鳥居をくぐると、右手に灯籠(とうろう)の並ぶやや険しい山道が続き、5分ほど登ると、木々に覆われた社殿が現れます。
古くは山の神として祭られ、奈良・平安時代にその存在が記録されています。その後、農耕神・水の神を司る天神社と呼ばれ、祈雨神祭などの雨乞いの神事がたびたび行われていました。一時荒廃し、1748(寛延元)年に耳成の村人によって今の社殿が建立されました。
拝殿に、江戸時代以降に描かれた大絵馬数点と共に、1854(嘉永7)年に奉納された算額が掛かり、4種類の幾何学の問題と解法が記されています。
現在は、近隣6町の氏神として祭られ、各町の自治会で構成される耳成世話人会の皆さんが、日々の参拝や清掃、草刈り等を行って、耳成山と神社を大切に守っておられます。
毎日の登山を楽しんだり、南麓の公園で語らう人々を、山の上から神様が見守って下さっているかのようです。
(奈良まほろばソムリエの会会員 大谷巳弥子)
(住所)橿原市木原町490
(祭神)大山衹神(おおやまつみのかみ)、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)
(交通)近鉄耳成駅から徒歩約15分、近鉄大和八木駅から徒歩約20分
(拝観)境内自由
(駐車場)耳成山公園駐車場利用。無料、35台
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