片岡神社は県北西部、王寺町に鎮座しています。平安時代905(延喜5)年に編纂(へんさん)が始まった「延喜式」に「片岡坐(かたおかにいます)神社」として登載される延喜式内社で、明神大社の格をもっていました。さらに古く、806(大同元)年「新抄格勅符抄(しんしょうきゃくちょくふしょう)」、859(貞観元)年「三代実録」にも記事が見えます。
朱鳥居を過ぎると参道は2条あり、間には神が通る道「神道」と書かれた札が立てられ、社殿が東向きに並び荘厳さが漂ってきます。また、拝殿には江戸時代に「雨願成就」の大絵馬が残され、畳1枚のサイズで6枚あり、馬や人が生き生きと描かれています。
祭神は豊受皇大神(とようけすめおおかみ)、清滝大神(きよたきおおかみ)、住吉大神(すみよしおおかみ)、八幡大神(はちまんおおかみ)、天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)で室町時代や江戸時代には「五社大明神」と呼ばれていました。
毎年秋には例祭が執り行われ、今年は10月22日が宵宮祭、同23日が例祭となっています。ペリー来航時退散祈願の奉幣(ほうへい)行事、子ども神輿(みこし)などが行われます。拝殿には当時の黒船退散の棟札も上がっています。
1909(明治42)年、王寺村(当時)にあった金計(かなけ)神社、大原神社、住吉神社は片岡神社に合祀(ごうし)され、現在は王寺全体の総鎮守として祭られています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 水間充)
(祭神)豊受皇大神、清滝大神、住吉大神、八幡大神、天照皇大神
(所在地)王寺町本町2の6の1
(交通)JR・近鉄王寺駅から徒歩約15分
(拝観)境内自由
(駐車場)無
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