やまとの神さま
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第22回 2022年10月20日掲載
人麻呂偲び法要と神事  柿本神社(葛城市)


柿本神社拝殿(左)と影現寺(右)=葛城市柿本で

 葛城山を背に「万葉集」の歌聖(かせい)といわれる柿本人麻呂を祭る柿本神社があります。人麻呂の生没年や生誕、終焉(しゅうえん)の地は不明ですが、「万葉集」から石見国(島根県)で没したのではともいわれています。770(宝亀元)年、人麻呂の生誕地とされる葛城の地に改葬、神社を建立したと伝わります。
 平安時代、空海の高弟で人麻呂の遠縁という真済(しんぜい)の作とされる人麻呂像や江戸時代の郡山藩主、松平信之が建てた人麻呂の墓があります。
 神社の隣には真済の建立した人麻呂堂(現・影現寺(ようげんじ))があり、本尊十一面観音像は人麻呂の化身と伝えられています。
 人麻呂の命日とされる4月18日、柿本神社と神宮寺の影現寺が行う「チンポンカンポン祭」は、寺での法要後、神社で神事がなされ、地域の人々と共に人麻呂を偲(しの)び、豊作が祈られます。
 人麻呂を祭る神社は全国に多くあります。謎多き人麻呂が伝説化され、神格化されていったといわれています。
 大和高田市根成柿(ねなりがき)の天満神社にある凝灰岩の石塔には、人麻呂と妻・依羅娘子(よさみのおとめ)にまつわる金鶏塚(きんけいづか)の話が伝わります。
 柿本神社の万葉歌碑「春柳葛城山に立つ雲の立ちても居ても妹をしぞ思う」に人麻呂の深い愛情を感じます。

(奈良まほろばソムリエの会会員 平越真澄)

(住所)葛城市柿本162
(祭神)柿本人麻呂
(交通)近鉄御所線新庄駅すぐ西側、JR大和新庄駅から徒歩約15分
(拝観)自由
(駐車場)無

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