天河神社は天川村坪内の琵琶山に鎮まっています。神社入り口の社号標は「大峯本宮天河大弁財天社(おおみねほんぐうてんかわだいべんざいてんしゃ)」です。鳥居をくぐって太鼓橋を渡り石段を登ると右手に神楽殿(能舞台)、左手に拝殿、拝殿の奥に本殿があります。
主祭神の市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)は弁財天と同一神で、弁財天は弁財天女とも称し、水の神、音楽、芸術、財宝の神として信仰を集めています。日本三大弁財天としても有名です。
本殿に祭られている八臂(はっぴ)弁財天像は毎年7月の例大祭で開帳されます。本殿右扉の中に安置されている日輪弁財天像は60年に1度だけ開帳され、次は2041年です。
能舞台では能楽やアーティストの演奏などが奉納されます。
芸能芸術の神として早くから崇敬されており、1430(永享2)年には、観世三代の嫡男、十郎元雅(じゅうろうもとまさ)が能「唐船(からふね)」を奉納し、能面「阿古父尉(あこぶじょう)」を寄進しました。尉(じょう)の面(おもて)で、能楽の創始者で父の世阿弥も使用したとされます。
他にも室町から江戸初期にかけての能面や能装束、狂言装束、小道具、能楽関係文書が多数保存されており、文化的価値の高いものばかりです。これは、天河神社が能楽の発祥の頃より深く関わり、芸能の守り本尊であることの証しといえます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 奥田八尋)
(住所)天川村坪内107
(主祭神)市杵島姫命
(交通)近鉄下市口駅から奈良交通バス約1時間、「天河大弁財天社」下車すぐ
(拝観)境内自由
(駐車場)無料、約30台
(電話)0747・63・0558
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