やまとの神さま
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第26回 2022年12月01日掲載
雌雄の狛犬に守られ  薬園八幡神社(大和郡山市)


薬園八幡神社の幣殿=大和郡山市材木町で

 薬園八幡(やくおんはちまん)神社は郡山城下にあり、創建は奈良時代にさかのぼります。749年、東大寺の大仏造立の鎮守のため宇佐八幡宮から勧請(かんじょう)した八幡大神(やはたのおおかみ)を分霊し、平城宮の南、梨原の地に祭ったのが始まりで、この地にもとよりあった広大な薬草園に由来する名とされます。750年に今の御旅所(大和郡山市魚町)がある清澄荘薬園に遷(うつ)され、1491年、現在地に鎮座したと伝わります。
 表門と鳥居の間にある石燈籠(どうろう)の鋭い文字には、柳里恭(りゅうりきょう)の号が刻まれており、江戸中期に活躍した文人画家、柳沢淇園(きえん)の書であることから、郡山藩主柳沢家との深い関わりがうかがわれます。境内に入ってすぐ左側の燈籠は、江戸末期の安政伊賀地震で亡くなられた人々のために造られたといいます。
 狛犬(こまいぬ)は全国的に非常に珍しいもので、本来は特に性別があるものではありませんが、それを示す特徴があり、向かって右側の愛嬌(あいきょう)のある阿形(あぎょう)がメスで、左側の威厳を感じる吽形(うんぎょう)がオスです。また、鎌倉時代から伝わる手のひらサイズの狛犬1対が本殿に大切に所蔵されています。
 本殿は一間社隅木入春日造(いっけんやしろすみぎいりかすがづくり)で、正面は蔀戸(しとみど)となっており、1759年に改築、2009年にも改修されています。

(奈良まほろばソムリエの会会員 佳山隆生)


(住所)大和郡山市材木町32
(祭神)八幡大神、比盗_(ひめがみ)
(交通)JR郡山駅から徒歩約5分、近鉄郡山駅から徒歩約10分
(拝観)無料。約50種の薬草見本園あり
(駐車場)無
(電話)0743・53・1355

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