薬師寺休ケ岡(やすみがおか)八幡宮は薬師寺鎮守の神社として、その境内南側にあり、古くから地域住民の熱意に支えられ、郷社(ごうしゃ)として守られてきました。その絶大なる厚意は現在も地域の水利組合などに受け継がれています。
896(寛平8)年に薬師寺の栄紹(えいしょう)別当により、宇佐八幡宮から現在地に勧請(かんじょう)されたのが始まりです。休ケ岡という名は貞観年間(859〜877年)に、大安寺の行教和尚(ぎょうきょうわじょう)が八幡大神(やはたのおおかみ)を勧請した際に、大神が休まれた地であることに由来しています。
鎮守社としての役割のため、薬師寺への参拝は、先にこちらへ詣でて身を清めてからという作法が伝えられています。
豊臣秀頼が1603(慶長8)年に寄進した社殿は南北の脇殿とともに重要文化財に指定されています。神と仏を一体と考える神仏習合でも知られ、神でありながら僧侶の姿である僧形八幡神(そうぎょうはちまんしん)を中心とした国宝の八幡三神像が祭られます。
修正会(しゅしょうえ)や修二会(しゅにえ)など薬師寺の行事の際は僧侶全員が一斉に参詣して、神式にのっとり拝礼や玉串奉奠(ほうてん)、読経などが行われ、神仏習合での祭礼を見ることができます。
9月の秋祭りには子ども相撲の奉納があり、地域の子どもたちは力のこもった神事を楽しみます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 毛利明)
(住所)奈良市西ノ京町457
(祭神)僧形八幡神、神功(じんぐう)皇后、仲津姫命(なかつひめのみこと)
(交通)近鉄西ノ京駅から徒歩約5分
(拝観)境内自由
(駐車場)薬師寺用利用。有料。
(電話)0742・33・6001
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