やまとの神さま
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第50回 2023年07月06日掲載
雨乞い、雨止めの神  丹生川上神社 中社(東吉野村)


高見川沿いに鎮座する丹生川上神社 中社。鳥居越しに拝殿が見える=東吉野村小で

 正式名は「丹生(にう)川上神社」ですが、同神社の名を冠した上社(かみしゃ)(川上村)や下社(しもしゃ)(下市町)と区別するため、通称「中社(なかしゃ)」と呼ばれています。大正時代に「官幣大社(かんぺいたいしゃ)丹生川上神社」に改称する前は「蟻通(ありとおし)神社」という名称でした。
 高見川沿いに鎮座し、祈雨(きう)・止雨(しう)の社(やしろ)として崇敬を受けています。主祭神の罔象女神坐像(みずはのめのかみざぞう)(鎌倉時代)など20体(平安〜鎌倉時代)が2022年、重文に指定されました。
 像を祭るのが流造(ながれづくり)で桧皮葺(ひえだぶき)の本殿、東殿、西殿。柱や梁(はり)に極彩色が残り、欄間には花鳥が彫刻されており、往時の壮麗な様子がうかがえます。
 本殿前の石灯籠は中国・宋人の名工、伊行吉(いいゆきよし)の1281(弘長4)年の制作で、重文に指定されており、東大寺法華堂の灯籠と並ぶ名作です。
 当社は、763(天平宝字7)年に朝廷の求めで祈雨神事を初めて催し、奈良〜室町時代に計96回の神事が行なわれたと伝わります。雨乞いには黒馬、雨止めには白馬か赤馬が献上され、神社に馬を奉ったことが、絵馬の起源とされています。
 毎年10月には、当社最大の祭典「小川祭り」が行われます。村内から8台の太鼓台が境内を所狭しと競い合い、「喧嘩(けんか)祭り」とも呼ばれ、多くの観光客でにぎわいます。

(奈良まほろばソムリエの会会員 箕輪成記)


(住所)東吉野村小(おむら)968
(交通)近鉄榛原駅からバスで東吉野村役場停留所まで約45分。同役場からコミュニティバスで蟻通停留所まで約10分(平日のみ)
(拝観)境内自由、駐車場有り
(電話)0746・42・0032

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