神前に供える台「三方」や割箸などの木工製品で有名な下市町。中心部から大峰山に向かう丹生(にう)川沿い(旧丹生村)に丹生川上神社 下社(しもしゃ)は鎮座しています。正式名は丹生川上神社で、上社(かみしゃ)(川上村)、中社(なかしゃ)(東吉野村)と区別するため「下社」を付けて呼ばれます。
社伝などによると、丹生川上神社は675年に天武天皇により建立され、平安時代の「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」に記載されました。室町時代後半から所在地が不明になりましたが、江戸時代に丹生大明神と呼ばれた現在の下社が有力地の一つに認められました。1952(昭和27)年には上社、中社、下社が別々の宗教法人として独立しました。
御祭神は闇龗神(くらおかみのかみ)という谷間の水の神で、境内にはご神水「丹生の御食(みけ)の井(い)」があります。
拝殿と、後方の丹生山の本殿との間は、屋根が付いた75段の「階(きざはし)」(約30メートル、傾斜約30度)でつながる独特の造りです。
古くから朝廷より祈雨(きう)に黒馬が、祈晴(きせい)には白馬がそれぞれ献上されたことから「絵馬」発祥の社としても有名です。560年ぶりに2012年から境内で黒馬と白馬が飼育されています。
丹生川から運び込まれ、奉納された産霊石(むすびいし)には、安産などのご利益があるとされています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 本井良明)
(住所)下市町長谷(ながたに)1の1
(祭神)闇龗神(くらおかみのかみ)
(交通)近鉄下市口駅から笠木・洞川(どろがわ)温泉行きバスで「長谷」下車すぐ
(拝観)境内自由
(駐車場)有り
(電話)0747・58・0823
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