やまとの神さま
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第53回 2023年08月03日掲載
半夏生に御湯神事催行  天太玉命神社(橿原市)


天太玉命神社の拝殿=橿原市忌部町で

 天太玉命(あめのふとたまのみこと)神社(橿原市忌部(いんべ)町)は、曽我川の西岸に鎮座し、忌部氏(後の斎部(さいべ)氏)の祖神である太玉命(天太玉命)など四座をまつっています。
 斎部氏は、7世紀に中臣氏と共に天皇のための宮廷祭祀(さいし)をつかさどりました。その後、中臣氏は藤原氏となり、政治的勢力を拡大したのに対し、斎部氏は本拠地のここに居住し、本社は氏神となりました。祭神である太玉命は、日本神話で天照大神(あまてらすおおみかみ)の岩戸ごもりの際に天児屋根命(あまのこやねのみこと)と祭祀を行ったとされています。
 本殿は正面の柱の間が四つある四間社流造(よんけんしゃながれづくり)。その左右には境内社の玉依姫命(たまよりひめのみこと)神社と、天児屋根命をまつる春日神社があります。境内には岡本天王社(てんのうしゃ)も建ち、その周りはツバキの木が多いため、開花すると、一面が赤く染まります。
 宮司は常駐しておらず、平素は忌部町の自治会によって管理されています。例祭は10月ですが、7月の七十二候の一つ「半夏生(はんげしょう)」の期間に御湯(みゆ)神事が催行されます。今年は半夏生が始まった翌日の3日に宮司と忌部町の総代ら自治会により無病息災が祈願され、終了後、一般参拝者が御湯を自宅に持ち帰りました。
 神社は斎部氏の子孫だけでなく全ての町民により、毎夕燈明がささげられ、大切に守られています。

(奈良まほろばソムリエの会会員 西野稔)


(住所)橿原市忌部町153
(祭神)天太玉命(あめのふとたまのみこと)、大宮売命(おおみやめのみこと)、豊石窓命(とよいわまどのみこと)、櫛石窓命(くしいわまどのみこと)
(交通)JR金橋駅から徒歩約15分。近鉄大和八木駅からバスで「忌部」下車すぐ
(拝観)境内自由
(駐車場)車1台分(無料)

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