往馬(いこま)大社は生駒谷の中央に位置し、生駒山をご神体として、人々が住み始めた太古から守り神として鎮座していたと考えられます。
「総国風土記」によると、458(雄略天皇3)年、伊古麻都比古神(いこまつひこのかみ)と伊古麻都比売神(いこまつひめのかみ)を祭ったとされ、鎌倉時代に八幡信仰が興隆し、現在は7柱の神を祭っています。古くから火の神としてあがめられ、本殿と拝殿の間には、ご神木の上溝桜(うわみずざくら)があります。
大嘗祭(だいじょうさい)(天皇が即位して初めての新嘗祭(にいなめさい))に供える米を育てる田を東西から一つずつ選ぶ「斎田点定(さいでんてんじょう)の儀」で、火おこしに使う「火燧木(ひきりき)」に上溝桜の枝が献上されます。
毎年、体育の日の前日に催される例大祭「火祭り」は勇壮な伝統行事です。氏子が南座と北座に分かれて御供(ごくう)(お供え物)を運ぶ速さ、大たいまつに御串(ごむし)を突き立てる速さ、燃え盛るたいまつを肩に担いで石段を駆け降りる速さを競います。
みこしが拝殿から下のお旅所まで下りると、祭礼を仕切る「弁随(べんずり)」による舞や巫女(みこ)神楽が奉納されます。この行事は県の無形民俗文化財に指定されています。
また、境内の森は「往馬大社の社叢(しゃそう)」として県の天然記念物になっており、太古から変わらぬ自然が守られています。
(奈良まほろばソムリエの会副理事長 小野哲朗)
(住所)生駒市壱分町1527の1
(祭神)伊古麻都比古神(いこまつひこのかみ)や伊古麻都比売神(いこまつひめのかみ)など7柱
(交通)近鉄生駒線・一分(いちぶ)駅から徒歩約5分
(拝観)境内自由
(駐車場)有り(無料)
(電話)0743・77・8001
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