夜支布(やしゅう)山口神社は奈良市大柳生町(おおやぎゅうちょう)の氏神で、夜支布を「やぎゅう」と読む資料もあります。創建は不明ですが、「日本三代実録」によると、859(貞観元)年に朝廷から正5位上を授けられ、平安時代の延喜式神名帳(えんぎしきじんめいちょう)にも記され、1200年以上の歴史があります。
「大柳生村史」によると、800年程前、大柳生地区の三つの氏神(山口神社、立磐(たていわ)神社、戸隠(とがくし)神社)を現社地に移し、合わせて祭ったのが当社です。境内の摂社・立磐神社は背後の巨石をご神体とし、立磐神社の本殿(重文)は1747(延享4)年に奈良市の春日大社の旧社殿(第4殿)を移築したもので、「春日移し」と呼ばれます。
当社には、1年交代で「当屋」と呼ばれる長老の家に神さまの分霊を迎える行事「廻(まわ)り明神」が伝わり、「大柳生の宮座行事」として2017年に県無形民俗文化財に指定されました。当屋の長寿を祝う「大柳生の太鼓踊り」も1978年に県無形民俗文化財に指定。若者が造花の飾りを背負い、胸につった太鼓をたたいて勇壮に踊っていましたが、10年程前から踊り手不足で休止中です。
例年11月3日には、ご神体の黒箱等を次の当屋に引き継ぐ「当渡し」が行われ、伝統行事が大切に守られています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 伊藤卓也)
(住所)奈良市大柳生町3089
(祭神)素盞嗚尊(すさのおのみこと)
(交通)近鉄奈良駅から柳生行き奈良交通バスで「大柳生」下車。徒歩約15分。
(拝観)境内自由
(駐車場)あり
(電話)なし
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