古代から歴代天皇の宮が置かれた「飛鳥京」の地を、見守り続けているのが飛鳥坐(あすかにいます)神社(明日香村)です。
日本書紀によると、大国主命(おおくにぬしのみこと)の子、事代主神(ことしろぬしのかみ)が神々を集めて「天高市」と記された飛鳥に鎮まったとされます。
その地は「かんなび山」とあがめられ、棚田の風景で知られる同村稲渕にあったと推測されますが、より民衆に近づくため、平安時代、現在の鳥形山(とりがたやま)に遷座されました。同神社によると、鳥形山には遷座前の一時期、天照大神(あまてらすおおみかみ)が祭られたため「元伊勢」とも呼ばれ、今も摂社「奥の社」に伊勢神宮(三重県伊勢市)と同じ神が祭られています。
初代神主が「天の神が地の神を守るため」にと天皇から「飛鳥姓」を賜り、現在の飛鳥弘文宮司で87代目となります。
境内には多くの末社・摂社と共に多数の陰陽石(男女のシンボルをかたどった石)があります。陽石は、山の神(妻)を迎えて暖かな春を招く力が宿っているとのこと。縁結び、安産に絶大なパワーがありそうです。
毎年2月第1日曜に五穀豊穣(ほうじょう)、子孫繁栄を祈る「おんだ祭り」が行なわれます。保存会が鬼とお多福と天狗(てんぐ)にふんしてユーモラスな所作を演じ、西日本三大奇祭の一つに挙げられています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 大谷巳弥子)
(住所)明日香村飛鳥708
(祭神)八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)、大物主神(おおものぬしのかみ)、飛鳥神奈備三日女神(あすかのかんなびみひめのかみ)、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)
(交通)橿原神宮前駅からバス、「飛鳥大仏前」下車。徒歩約5分
(拝観)境内自由、駐車場10台無料
(電話)0744・54・2071
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