久米御県神社(くめのみあがたじんじゃ)(橿原市)は、畝傍山の南東にある古刹久米寺に南接し、西面して鎮座します。
祭神の高皇産霊神(たかみむすびのかみ)、大来目命(おおくめのみこと)、天槵根命(あまのくしねのみこと)の三柱は、古代の久米氏の祖神・遠祖につながる神様です。その久米氏は記紀によれば神武東征の際、軍事氏族として活躍し、久米邑(むら)を賜りました。さらに久米氏所縁の「久米舞」や「久米歌」も今に伝わっています。
久米御県神社は平安時代の「延喜式神名帳」に載る「久米御県神社三座」に充てられます。「御県」とは天皇に野菜を献上する直轄地を言い、延喜式神名帳には大和御県神社の一つとして記載されますが、なぜか「延喜式」祈年祭祝詞(としごいのまつりのりと)の中にある大和国六御県神社(高市、葛木、十市、志貴、山辺、曽布)には含まれていません。
古代の久米氏の衰えにより神社も衰え、後で創建された久米寺の寺域の一画に鎮守として天神社、天満宮として祭られました。明治時代に神仏分離により久米寺から離されたため、久米村によって全面的にお祭りされ、当初の久米御県神社と改められ、今に至ります。
例祭の10月第2日曜日には、久米町内の大人・子ども約60人によって、約2時間にぎやかに「だんじり」が町内を練り歩きます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 亀田幸英)
(住所)橿原市久米町786
(祭神)高皇産霊神、大来目命、天槵根命
(交通)近鉄橿原神宮前駅の西口から西へ徒歩約5分
(拝観)境内自由
(駐車場)あり。無料
(電話)なし
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