鳥見山の西に鎮座する当社は、10世紀前半制定の「延喜式神名帳」に記載された「式内社」であり、明治時代まで能登の宮と呼ばれており、1940年に旧村社から県社に列せられました。
橿原宮で即位したとされる初代神武天皇が、鳥見山中に霊畤(まつりにわ)を設けて最初の大嘗祭(だいじょうさい)を行った地と伝えられ、この故事を顕彰する鳥見山中霊畤春季大祭が5月13日に行われます。
160基あまりの石灯籠(どうろう)が並ぶ左の参道を進むと、天照皇大神(あまてらすおおみかみ)を祭る「上津尾社」があります。社殿は、元は鳥見山山中にありましたが、山崩れのため12世紀初めに現在地に移されたと伝えられます。裏参道を下ると「下津尾社」に至ります。本殿は2棟あり、右殿は八幡社で、神武天皇、応神天皇を、左殿は春日社で、高皇産霊神(たかぎむすびのかみ)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)を祭ります。
境内には、万葉歌碑、句碑、歌碑が13基建立されています。手水(ちょうず)舎には、中国の伝説上の神獣「贔屓(ひいき)」(亀の姿で贔屓の語源とされる)が使われています。県道脇に立つ一の鳥居は、2015年に伊勢神宮内宮の鳥居を譲渡されたものです。
11月下旬の献灯祭では、奉納された行灯(あんどん)が参道に並び、紅葉がライトアップされ、多くの参拝者でにぎわいます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 田村基樹)
(住所)桜井市桜井1176
(祭神)天照皇大神、神武天皇、応神天皇、高皇産霊神、天児屋根命
(交通)JR・近鉄桜井駅下車、東南へ徒歩15分
(駐車場)あり。無料
(電話)0744・42・3377
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