やまとの神さま
< 第102回へ 第104回へ >
第103回 2024年11月13日掲載
藤原忠通から900年続く例祭   春日大社 若宮神社(奈良市)


鳥居越しに見える春日若宮本殿(重文)=奈良市春日野町で


 春日大社の若宮神社は、春日大社の摂社で「若宮」と呼ばれ、水徳や五穀豊穣(ほうじょう)、智恵・芸能の神様として信仰されてきました。一方で春日大社本社は「大宮」と呼ばれます。
 大宮から若宮までの約100メートルの「御間道(おあいみち)」には、奉納された灯籠(とうろう)が並び、室町時代に全国の神社仏閣に奉納された石灯籠の約3分の2があります。
 「春日社記」などによると、若宮本殿は1135(長承4)年に大宮第三殿(天児屋根命(あめのこやねのみこと))と第四殿(比売神(ひめがみ))の御子神(みこがみ)・天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)をお祭りするために造営され、背後の神山・御蓋山(みかさやま)も拝めるよう西向きです。春日造で2022年の式年造替時も大宮本殿と同様に、高貴な「本朱」(銀朱)のみで塗り替えられました。
 祭典の際には、本殿手前にある拝舎(はいのや)の石敷に神職が座り、神楽殿では、御巫(みかんこ)の舞である社伝神楽が奉納されます。
 例祭である12月の「春日若宮おん祭」は、若宮創建の翌年1136(保延2)年に人々の幸せを願って関白・藤原忠通が創始したと伝わり、毎年一度も途切れることなく900年近く続いています。平安朝以降の芸能、風俗を知り得る貴重な祭礼として、お渡り式や奉納される神事芸能は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 池田崇)


(住所)奈良市春日野町160
(祭神)天押雲根命
(交通)JR・近鉄奈良駅から「春日大社本殿」行きバス。終点から徒歩約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)有料(春日大社駐車場)
(電話)0742・22・7788


 掲載記事(pdf)はこちら

トップページへ
COPYRIGHT (C) 奈良まほろばソムリエの会 ALL RIGHTS RESERVED.