高市御県(たけちのみあがた)神社は歴史ある町並みの今井町(橿原市)を解説する資料館、今井まちなみ交流センター「華甍(はないらか)」の南隣に鎮座します。
創建は明らかではありませんが、平安時代の「延喜式神名帳」には、名神大社に列せられ、古くは極めて有力な神社だったと思われます。
高市県については、「日本書紀」の672(天武天皇元)年7月条で壬申の乱の記事に登場する当地の「高市県主許梅(たけちのあがたぬしこめ)」の名が見えます。
古代の大和国では、天皇に献上する野菜を栽培する直轄地を御県といい、「延喜式」にある祈年祭(としごいのまつり)の祝詞の中に「六つの御県」(高市、葛木、十市、志貴、山辺、曽布)の各郡の名前と、土地の霊を祭る御県神社の存在が記録されています。
祭神の天津彦根命(あまつひこねのみこと)は高市県主の祖と言われています。他方の祭神の高皇産霊命(たかみむすびのみこと)が祭られている事情は不明です。
その後時代と共に神社は衰えますが、江戸時代以降当社は高木宮(こうきのみや)とも呼ばれ、今井町の有力な高木家が当社社人(しゃじん)の筆頭となり、高木一族が氏子として奉仕してきました。
近年では高木本家が中心になって祭礼を取り仕切っています。なお、国重文「高木家住宅」は19世紀初頭に本家から分家し内部は一般公開されています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 亀田幸英)
(住所)橿原市四条町817
(祭神)天津彦根命、高皇産霊命
(交通)近鉄橿原線・八木西口駅から徒歩で南へ約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)なし
(電話)0744・22・6551(株式会社タカギ)
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