やまとの神さま
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第107回 2024年12月18日掲載
人生の難所守る15社の一つ   佐良気神社(奈良市)


春日若宮近くに鎮座する佐良気神社=奈良市春日野町で


 春日大社南門前の石灯籠(とうろう)が並ぶ御間道(おあいみち)を100メートルほど南に行くと「おん祭」で有名な春日若宮があります。この神社の周りに人が生涯を送る間に遭遇するさまざまな難所をお守りする神々が若宮十五社として鎮座しています。神社の南側、十五社めぐりの第八番納札社が春日大社境内末社の佐良気(さらけ)神社です。
 赤い柵に囲まれた敷地には鳥居があり、小さな境内の中、城の石垣のような上にお社が東側の深閑(しんかん)とした森を背にして建つ姿に威厳を感じます。
 ご祭神は蛭子神(ひるこのかみ)(一般にはえびす神)です。蛭子神はイザナギとイザナミが最初に生んだ神様でした。手足が不自由な姿ゆえ葦(あし)の舟で海に流されてしまい、今の大阪・兵庫あたりで拾われ、「えびす三郎」という名で大切に育てられ、恵比寿明神になったという伝承もあります。商売繁盛、交渉成立をお守りくださる神様とされています。
 毎年1月10日に「春日の十日えびす」と言われる御例祭が行われます。通常、春日大社の巫女(みこ)さんは藤のかんざしをつけていますが、この日は金色の烏帽子(えぼし)をかぶった福娘が吉兆笹(きっちょうざさ)や縁起物を授与してくれます。日ごろ静かなこの神社が大にぎわいを見せることから人々の信仰を集めていることが実感されます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 新島弓美子)


(住所)奈良市春日野町160。春日大社内
(祭神)蛭子神(えびす神)
(交通)JR・近鉄奈良駅からバス。「春日大社本殿」下車、徒歩約10分
(駐車場)春日大社にあり。有料
(電話)0742・22・7788


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