やまとの神さま
< 第120回へ 第122回へ >
第121回 2025年05月15日掲載
今年は何キロ? 夏の風物詩   氷室神社(天理市)


氷室神社の拝殿=天理市で


 氷室神社(天理市)は氷の神さまを祭る珍しい神社として、親しまれており、鬱蒼(うっそう)とした木立に覆われ夏でもヒンヤリとするような杜(もり)に鎮座しています。他の氷室神社と区別して都祁氷室神社と呼ばれることもあります。
 「日本書紀」によると、仁徳天皇の異母兄弟の額田大中彦皇子(ぬかたのおおなかひこのみこ)がこの地に来た時、小屋のようなものを見つけ、それが氷室であり、冬に氷を納め、夏に取り出して酒に浸して飲むとおいしいということでした。そこでその氷を持ち帰り、天皇に献上すると大変喜ばれ、以後毎年献上することになったとされています。その後、414(允恭(いんぎょう)天皇3)年、氷室神社が創建されたそうです。
 現在も社殿後方の室山には、献上する氷を作ったという池の跡とそれを保管した氷室の遺構と伝わる大きな窪みが20数か所残っています。
 現在、1998年に地元有志が復元した茅葺の氷室に毎年2月、約3dの氷を搬入し、7月に溶けずに残った氷の重さを計るイベント「福住氷まつり」が行われています。その重さは平均744.4`(24.8%)で2000年と02年の2.1dが最高で、最低は16年の13.6`でした。近年は残量が減少しており、24年は243`しか残りませんでした。
(奈良まほろばソムリエの会理事 柏尾信尚)


(住所)天理市福住町1841
(祭神)闘鶏稲置大山主命(つげいなぎおおやまぬしのみこと)、大鷦鷯命(おおささぎのみこと)、額田大中彦命(ぬかたおおなかひこのみこと)
(交通)JR・近鉄天理駅から奈良交通バスで『国道福住バス停』下車徒歩約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)有(無料)
(電話)0743・69・2971


 掲載記事(pdf)はこちら

トップページへ
COPYRIGHT (C) 奈良まほろばソムリエの会 ALL RIGHTS RESERVED.