やまとの神さま
< 第119回へ
第120回 2025年05月08日掲載
古都の清流司る式内大社   都祁󠄀水分神社(奈良市)


都祁󠄀水分神社の拝殿=奈良市で


 都祁󠄀水分(つげみくまり)神社は、奈良市の南東部に鎮まります。大和高原から流れ出す木津川上流の布目(ぬのめ)川や大和川上流の初瀬(はせ)川の水を司る神社で、平安時代の「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」に記載された式内大社(しきないたいしゃ)で、「大和四水分」の一つとされます(他は吉野、葛木、宇太)。
 社伝によりますと、飛鳥時代に創建され、最初の鎮座地は、ここより3キロ南に鎮まる都祁󠄀山口神社の地でした。平安時代の971(天禄2)年に現在地へ遷座しました。祭神は、速秋津彦神(はやあきつひこのかみ)、天水分神(あめのみくまりのかみ)、国水分神(くにのみくまりのかみ)の3柱で、杉木立に囲まれたこぢんまりとした境内に鎮座しています。
 鳥居をくぐると、緩やかで真っ直ぐな坂道の参道の正面に能舞台があり、その先に拝殿があります。本殿(重文)は、室町時代の1499(明応8)年に造営された、檜皮葺、総丹塗りの一間社春日造(正面の柱間がひとつの切妻屋根で棟と直角な面に入口がある建築様式)です。本殿の前には、一対の狛犬があります。頭が小さく、どっしりとした体つきで、鎌倉時代末期の作とされています。
 社地は、奈良時代に聖武天皇が行幸した堀越頓宮(ほりこしのとんぐう)の伝承地で、鳥居の左方にその石碑があります。
 平安時代には、伊勢斎宮の皇女が宿った都介(つげ)頓宮の跡でもあります。
(奈良まほろばソムリエの会会員 坂口隆信)


(住所)奈良市都祁󠄀友田町182
(祭神)速秋津彦神、天水分神、国水分神
(交通)名阪国道「道の駅針テラス」から車で南西に約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)あり(お問い合わせください)
(電話)0743・82・0097


 掲載記事(pdf)はこちら

トップページへ
COPYRIGHT (C) 奈良まほろばソムリエの会 ALL RIGHTS RESERVED.