「かるたで知るなら」の初回は、「あ」の飛鳥寺です。飛鳥寺は、蘇我馬子(そがのうまこ)の発願によって596(推古天皇4)年に完成した日本初の本格的寺院です。建てられた当時は法興寺と呼ばれていました。一塔三金堂の伽藍(がらん)配置は日本唯一で、開明的な馬子が当時としては先進的な朝鮮半島の高句麗の様式を参考にしたと考えられます。
609(推古天皇17)年4月8日、中金堂で金銅製の本尊(飛鳥大仏・重文)の開眼供養会(かいげんくようえ)が行われました。大仏造立は推古天皇、聖徳太子、蘇我馬子らの共同発願ともいわれ、現存する日本最古の仏像です。鎌倉時代の1196(建久7)年に塔に落雷があり、中金堂が延焼し大仏も被災しましたが、近年の調査で顔の大部分と右手は造立当初のものと判明し、国宝的な価値があるといわれています。
さらに驚きは、大仏は台座とも現在に至るまで、同じ場所に鎮座していることです。また大仏開眼供養と同時に灌仏会(かんぶつえ)(花会式[はなえしき])も行われ、日本初の花祭りが行われた寺でもあります。
今年は聖徳太子没後1400年の御遠忌(ごおんき)にあたる年です。この節目の年に聖徳太子も手を合せたであろう同じ場所に座り、飛鳥大仏に合掌されてはいかがでしょうか。
(奈良まほろばソムリエの会 会員 米谷 潔)
|