新元号「令和」が万葉集巻五「梅花の歌」の序文から採られたことで、全国的な万葉ブームがまき起こりました。この万葉集と奈良県は、とても深い関わりがあります。
万葉集に登場する地名はのべ約2900、そのうち奈良県の地名はのべ約900と、約3分の1に上ります。「万葉集の舞台は奈良県」と言っても過言ではありません。
戦後の宅地開発などで奈良の景観は大きく変わりましたが、大和三山も三輪山も飛鳥の棚田も吉野川も、美しい風景を今に伝えています。
万葉集は7世紀後半から8世紀後半にかけてまとめられた現存するわが国最古の歌集で、天皇、貴族から下級官人、防人(さきもり)など様々な階層の人が歌を詠んでいます。
桜井市黒崎の白山比咩(しらやまひめ)神社(白山(はくさん)神社)には、万葉集の巻頭を飾る雄略天皇の歌碑と、万葉集発祥の地として桜井市出身の文芸評論家、保田與重郎(やすだよじゅうろう)が揮毫した万葉集発耀讃仰(はつようさんぎょう)の碑が立っています。
そんな万葉集を題材に、奈良まほろばソムリエの会は今年2月、京阪奈情報教育出版から『奈良通が選んだ 奈良万葉の旅百首』(税込み1100円)という新書本を発刊しました。コンセプトは「この本を携えて、現地を訪ねてもらおう」。
写真は新たに撮りおろし、詳しい地図も載せ、令和の新時代にふさわしいガイドブックとしました。県内各地の散策が多角的に楽しめる本としています。ぜひ本を携えて、万葉びとが歩いたであろう道をたどり、見たであろう景色を眺めていただきたいと思います。
(奈良まほろばソムリエの会 専務理事 鉄田憲男)
|